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車載電子機器のノイズ問題と対策手法

車載電子機器のノイズ問題と対策手法

車載電子機器の普及が進む中で、ノイズ対策の重要性が高まっています。自動車は多くの電子制御ユニット(ECU)やセンサー、通信モジュールを搭載しており、適切なEMC(電磁両立性)設計が求められます。

本記事では、車載電子機器におけるノイズ問題と、その対策手法について詳しく解説します。

車載電子機器のノイズ問題

車載電子機器は、さまざまな電気・電子部品が密集している環境で動作するため、ノイズの発生が避けられません。本章では、車載電子機器におけるノイズの発生要因と、それに関連する規格や対策の必要性について解説します。

自動車におけるノイズ発生の主な要因

自動車は、多くの電気・電子部品を搭載しており、それらの動作によってノイズが発生します。特に、エンジンの点火装置やインバータ、スイッチング電源などは、強力な電磁ノイズを発生させる原因となります。これらのノイズは、車載ネットワークやセンサーに干渉し、動作の不具合を引き起こす可能性があります。

また、電装部品が増加するにつれて、電子機器同士が影響を及ぼす「自己ノイズ」も深刻化しています。例えば、LEDヘッドライトの駆動回路がAMラジオの受信に影響を与えることがあり、このような干渉を防ぐための対策が求められます。さらに、車両内の電装品が発するノイズが、外部の無線通信(GPSやスマートフォン)に悪影響を及ぼすケースも増えています。

オートモーティブEMCの規格と要件

車載電子機器は、国際規格であるISO 11452やCISPR 25などの基準に適合する必要があります。これらの規格では、車両内で発生する放射ノイズや伝導ノイズを低減するための要件が定められています。

規格主な対象目的
ISO 11452車載電子機器放射および伝導ノイズ耐性の試験
CISPR 25車載無線機器車両内ノイズの抑制
ISO 7637自動車用電源系電圧変動や過渡現象の影響評価
SAE J1113車載システム電磁適合性評価

これらの規格に適合しない場合、電子機器の誤動作や通信不良の原因となり得るため、設計段階からノイズ対策を講じることが不可欠です。

車載電子機器のノイズ源と影響

車両内では、エンジン制御、情報通信、センサーシステムなど、多くの電子機器が稼働しており、それぞれがノイズの発生源となる可能性があります。本章では、車載電子機器における主要なノイズ源と、その影響について詳しく説明します。

CANバスとノイズ干渉のリスク

自動車のネットワーク通信には、CAN(Controller Area Network)バスが広く用いられています。しかし、CANバスは外部ノイズの影響を受けやすく、適切なシールドやツイストペア配線を施さないと、通信エラーの原因となる可能性があります。

例えば、イグニッションコイルや燃料噴射システムのスイッチング動作によって発生する高周波ノイズが、CANバスの信号に干渉することがあります。この場合、エラーフレームの発生やデータ送受信の遅延が起こるため、適切なフィルタリング技術の導入が必要です。

また、高周波ノイズが影響すると、信号の品質が低下し、誤作動を引き起こすリスクもあります。これを防ぐためには、CANトランシーバの設計時に、適切なバイパスコンデンサやフェライトビーズを配置することが有効です。

インバータノイズとその対策

電動車両(EV)やハイブリッド車(HEV)では、インバータが高周波スイッチングを行うことで強い電磁ノイズが発生します。このノイズは、車載センサーやオーディオシステムに影響を及ぼし、信号の品質低下や誤作動を引き起こす原因となるため、適切な対策が不可欠です。

インバータノイズの低減には、シールド技術の導入が効果的です。インバータユニットを金属製のシールドケースで覆うことで、外部への放射ノイズを抑え、周辺機器への影響を軽減できます。しかし、金属シールドは放熱の問題を引き起こす可能性があるため、適切な放熱設計を施しながら、シールドの効果を最大化する工夫が必要です。

フィルタリング技術の適用もノイズ対策において重要です。特に、LCフィルタを使用することで、高周波成分を効率的に除去できます。インバータから発生するスイッチングノイズは、電源ラインや信号ラインに影響を及ぼすため、適切なフィルタを組み込むことで、システム全体のノイズ耐性を向上させることが可能です。

グラウンド処理の最適化によって、ノイズの回り込みを防ぐことができます。低インピーダンスなグラウンド経路を確保することで、不要な電磁波の蓄積を抑え、信号の安定性を維持することが可能になります。特に、グラウンドパターンを広く取ることで電流の流れを均一化し、ノイズの影響を最小限に抑えることができます。

これらのシールド技術、フィルタリング技術、グラウンド処理を組み合わせることで、インバータノイズの影響を大幅に低減し、車載電子機器の信頼性を向上させることができます。

車載電子機器のEMC設計手法

車載電子機器のノイズ対策には、設計段階からの適切なEMC(電磁両立性)設計が不可欠です。本章では、車載電子機器のEMC性能を高めるための設計手法について、具体的なアプローチを紹介します。

PCB設計におけるEMC対策

車載電子機器のPCB(プリント基板)設計では、ノイズの発生を最小限に抑えるための工夫が欠かせません。特に、グラウンドプレーンの適切な配置や信号配線の最適化は、ノイズ対策の基本となります。

グラウンドプレーンの一貫性を確保するためには、基板上に明確なグラウンド構造を持たせることが重要です。特に、高速信号を扱う回路では、異なる電位を持つグラウンドが干渉を起こさないようにする工夫が必要です。適切なビアの配置や、グラウンドと信号ラインの間の距離を適正に保つことで、不要なノイズの伝播を防ぐことができます。

高速信号のルーティングを最適化することで、ノイズの影響を軽減できます。信号ラインの長さを抑え、可能な限り直線的に配線することが望ましいです。これにより、不要なインダクタンスやキャパシタンスを抑制し、信号の品質を向上させることができます。

デカップリングコンデンサを適切な位置に配置することで、電源ラインに発生するノイズを抑えることが可能です。特に、電源の変動を抑制するためには、プロセッサや通信モジュールの近くにコンデンサを配置することが効果的です。これにより、安定した電源供給が確保され、電子機器の誤動作を防ぐことができます。

シールドとフィルタリングの活用

車載電子機器のEMC対策には、シールドとフィルタリング技術の適用が不可欠です。シールドケースを活用することで、外部からの電磁波を遮断し、電子機器内部のノイズ干渉を最小限に抑えることができます。

シールドケースを適用する際には、放熱や通気性を確保する設計が重要です。特に、金属製のシールドケースは高い遮蔽効果を持つ一方で、熱がこもりやすいという課題があります。そのため、適切な放熱孔を設けるなど、放熱設計を考慮する必要があります。

一方、フェライトコアの活用は、信号ラインや電源ラインにおけるノイズ抑制に有効です。フェライトコアは、コモンモードノイズを低減する働きを持ち、特に電源ケーブルやデータ通信ケーブルに装着することで、外部からのノイズ影響を抑制する効果があります。

電源ラインにはLCフィルタを導入することで、高周波ノイズを効果的に除去することが可能です。LCフィルタは、インダクタとコンデンサを組み合わせた回路であり、不要な高周波成分を低減するのに役立ちます。特に、車載機器の電源回路では、急激な電圧変動が発生しやすいため、適切なフィルタリング技術の導入が求められます。

これらのシールド技術とフィルタリング技術を適切に組み合わせることで、車載電子機器のEMC性能を向上させることができます。

まとめ

車載電子機器のノイズ対策は、安全な車両運行や快適なユーザー体験を実現するために不可欠です。適切なフィルタリングやシールド技術を活用し、EMC試験に適合する電子機器を設計することで、高品質な車載システムの構築が可能となります。

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